(出典 itproject.xyz)


鉄道ファンに人気の駅です。

―[シリーズ・駅]―


 日本最北の路線として知られるJR宗谷本線。旭川~稚内を結ぶこの路線には秘境駅が多いことで有名だが、なかでも多くの鉄道愛好家たちを魅了する駅が存在する。

 その駅とは幌延町にある糠南(ぬかなん)駅。そこで雪が降りしきる極寒の中、同駅を訪問。その魅力を探ってみた。

◆人より野生動物のほうが多い?

 たまたま身内の用事で道北を訪れていた筆者。せっかくの機会なので足を延ばしてみることにしたが、糠南駅があるのは稚内から南にわずか約60キロという日本でも最北の地域。車窓の景色はひたすら銀世界が続き、現地に着くまでずっと雪が降っていた。

 この日は途中駅で行き違う列車がなかなか来なかったため、糠南駅には定刻の18分遅れの10時24分に到着。次に乗る予定の列車の時刻が12時15分発だったので、氷点下の中で待つことを考えれば滞在時間が1分1秒でも短くなるのはむしろ大歓迎だ。

 糠南駅には前にも来たことがあるが、雪の季節に訪れたのは初めて。周囲には雪原と林、小高い雪山がある程度で駅周辺には民家はおろか、建物の1つすらない。

 そのため、この駅を普段使っている地元客は皆無で、筆者のような物好きな鉄道ファンがたまに来る程度。でも、雪原に列車1両分ほどの長さしかないホームがポツンと佇むのは、いかにも冬の秘境駅という感じで画になる風景だ。

 しかも、このホームは今どき珍しい板張り。底が抜けそうで怖かったが、地元ボランティアの方が除雪しているらしくホームにはほとんど雪が積もっていなかった。

 そんな糠南駅には駅舎がなく、唯一あるのはホーム脇に設置された小さな建物だけ。「ヨド物置」と書かれた小さなプレートが付いており、どこからどう見ても物置だが、なんとこれが糠南駅の待合室。戸をガラガラと開けると、除雪道具が端に置かれているが路線図時刻表、料金表が貼られている。

 ただし、それ以上に目を引くのは目撃情報をまとめた「熊の出没マップ」。すでに冬眠に入っている時期だと思うが、実は糠南駅一帯はヒグマの出没地帯。春~秋にかけて地元では頻繁にその姿が目撃されているのだ。

トイレに行くのは命がけ

 駅や周辺をあれこれと撮影したが、そこは何もない秘境駅。着いて15分も経たないうちにやることがなくなってしまった。イス代わりに置かれている瓶ビールケースに座り、駅ノートの書き込みを眺めていたがあまりに退屈だ。物置待合室には当然暖房なんてものはなく、室内でも底冷えする寒さのせいかトイレに行きたくなってしまった。

 だが、糠南駅にはトイレがなく、案内されている公共施設の場所はなんと2キロも先。スマホで調べると歩くと約30分もかかり、隣の問寒別(といかんべつ)駅の目と鼻の先だ。

 この寒さの中、次の列車が車で1時間半近くも耐えられる自信はなかったため、我慢できる今のうちにトイレに向かい、そのまま問寒別駅まで移動することを決断。

 駅周辺の気温も温度計アプリで確認するとマイナス2度! 東京に比べればありえない寒さだが、真冬の道北にしてはまだマシなのだろう。

 ありがたいことに歩き始めて少し経つと雪もおさまり、空も晴れてきた。とはいえ、行き交う車がほとんどないせいか道路には雪が積もったままで歩くのも大変だ。

 それでもなんとか案内されていた公共施設にたどり着き、無事に用を足すことができた。もし糠南駅であのまま待ち続けていたら最後まで我慢することができず、大惨事になっていたかもしれない。

糠南駅では毎年クリスマスイベントを開催

 ちなみに隣の問寒別駅の周辺は小さいながらも住宅も多く、学校やスーパーなどもあった。ここも駅舎のない無人駅で、貨車を改装した待合室があるだけだが糠南駅に比べるとやけに立派に感じてしまうのは気のせいだろうか。

 でも、隣駅まで歩いて移動したことで時間を潰せて、都会ではできない雪中ウォーキングが体験できたので結果的にはよかったかもしれない。

 ちなみに糠南駅では毎年12月24日鉄道ファンと地元の有志がクリスマスイベントを実施。2020年コロナの影響でオンライン開催になったが、いつか現地でのイベントにも参加してみたいものだ。<TEXT/高島昌俊>

【高島昌俊】
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。世界一周(3周目)から帰国後も仕事やプライベートで国内外を飛び回っている。

―[シリーズ・駅]―


糠南駅


(出典 news.nicovideo.jp)